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部活イメージ写真

2017年4月、部活指導を”外部指導員”ができるよう法令改定



文部科学省は中学校と高校の部活動の外部指導員を学校職員として位置づけ、部活動の実技指導や、引率教員がいなくても単独で指導や大会への引率を行えるように、学校教育法の施行規則を改める省令が出されました。

この政府の動きの背景として、教師が発信した「ブラック部活」の実態、つまり部活による教師の長時間拘束、またそれがボランティア(無償)に近いこと、そしてやり方もいつどれくらいするかも顧問の教師に委ねられており、「もっと部活やれ」というモンスターペアレンツに悩まされるなど、さまざまな問題が浮き彫りにされたことにあります。そのためこの法令は、「教員の業務負担を減らすため」とされています。

教師の実態として発表されているものとして、教師の睡眠時間の調査があります。一般的な睡眠時間平均は7時間4分に対し、中学校教員は6時間3分と1時間短い結果。さらに顕著な休日の睡眠時間は、平均9時間16分なのに対して、中学校教員は6時間52分と2時間もの差があります。これは土曜授業や部活動など、休日も学校に出勤する傾向が強いことを示していると思われます。

もうひとつ問題なのは、教師がその部活顧問の専門ではない場合も半数近くあるという実態です。

スポーツ系の部活に関する調査をご紹介しましょう。日本体育協会の調査によると、担当している部活動の競技経験が無い教員が顧問になっている割合が、中学校では45.9%、高等学校では40.9%であり、実際に約40%の 指導員が専門的始動の不足を感じていると報告しています。

このように部活の問題は、教員の長時間労働だけではなく、スキルや経験不足により十分な指導が出来ていない課題があることも分かります。今回の政府の動きにより、これらの問題解消へと動いていくのは、生徒にとっても先生にとっても双方に多いにメリットがあります。

しかしながらなぜ今までこのような動きがなかったのでしょうか?その大きな理由としては、「責任の所在」「予算」「人」です。 

「責任の所在」というのは、もし学校で生徒がケガするなどの問題が起きた場合、外部指導員が部活を行ったとしても、その場所が学校である限り責任が学校にあるので、結局のところ教師から完全に手放すことができないということです。

「予算」については、実は先立って部活顧問を外部に委託している自治体もあり、そのひとつの大阪市では、現在部活顧問を外部委託しており、もっと外部委託の数を増やしたいと考えていますが、現在委託している民間委託の場合、部活動の10%を委託するだけでも年間数億円必要となってしまい財源が不足状態という問題が起きています。

「人」に関しては、実は部活動の顧問をボランティアでもしたいという人は結構います。人はいるのですが、それらの人が学校と結びつく場がない、またはボランティアでも教えたいという人が本当に適任かどうか学校で判断がつかない、という問題です。

上記のように部活顧問を外部委託をしている場合、民間にまとめて委託するか、学校単体ではなく教育委員会などが人を募集して集めて、それぞれの学校に紹介するパターンかどちらかです。どちらのやり方も学校と人の間に介在することで、予算が膨らんでしまいます。しかしながら「答えのない授業.net」では、先生が直接外部指導員を探すことができ、「答えのない授業.net」という第三者の評価を知って雇うことができます。

「責任の所在」に関しては、提案があります。部活を学校活動の一環ではなく完全に”地域活動”としてしまい、学校はあくまでも”場所の提供”となることです。そうなると責任は学校から完全に離すことができます。学校は本来であれば地域の中心となる場です。放課後は空き教室もたくさんあります。最近では「シェアリングエコノミー」という言葉もよく聞きますが、新しく作るのではなく、今ある資源を共有(シェア)するという流れにありますので、学校という有益な資源を「場」や「空間」として活用するのは、大変有益だと思います。

今回の政府の動きは、始まりでしかありません。部活を外部指導員が実行することが当たり前になるには、上記の問題が解消される必要もあり少々時間がかかるでしょう。しかしながら、子供たちがよりよい教育機会を得られるために、「答えのない授業.net」が部活問題にも役立つことを願っています。